FOCUS of LABOLIS

2016.06.03

LABOLIS調べ:【ニューロマーケティング】年配層が高い関心を持つ縦書き。若中年層との比較から見えてきた人の注意関心反応

 LABOLISではニューロマーケティングへの取り組みを加速しており、ヒトの情報認知に関するさまざまな脳機能計測実験を実施している。脳機能計測実験では脳の生体信号の計測と視線計測を組み合わせることで、人が紙媒体やWebサイトを見ている際にどのような関心を示しているかを評価し、日々研究を進めている。

 今回は縦書きやバラバラにレイアウトされた表現物など文字情報の記載の仕方の違いによる、世代別の人の注意関心の反応について紹介したい。

1.縦書きだと年配層は読みやすく、高い関心を持つ

 年配層は縦書きの文字情報を読んでいるときは、前頭葉の脳活動が活性化しており(図1)、情報に関心が向けられている状態が分かった。また同時に情報のどの部分に視線が向けられたかを計測したところ、主に文字情報を注視し、しっかりと読み込んでいることが確認できた(図2)。

<45 歳以上(年配層):縦書きの文字情報を閲覧したときの脳と視線の反応>
図1:fNIRS脳機能計測(前頭葉)
図1:fNIRS脳機能計測(前頭葉) 
前頭葉の特に前頭前野下縁寄りで
強い反応がある(赤い部分)。
図2:視線計測(ヒートマップ)


主に文字情報に視線が集中している
(赤い部分が注視箇所)。

 それに対し、若中年層は年配層のような前頭前野の高い脳活動が見られず、関心に結びついていない(図3)。加えて、文字情報もあまり注視していないため(図4)、いわば「読み飛ばしている」状態といえる。

<44 歳以下(若年・中年層):縦書きの文字情報を閲覧したときの脳と視線の反応>
図3:fNIRS 脳機能計測(前頭葉)
図3
前頭葉の脳活動は活性化していない。
図4:視線計測(ヒートマップ)

図4
年配層に比べて文字情報を
あまり注視していない。

 これらのことから、縦書きの情報は45歳以上の年配層では「読みやすく、内容を理解しようとして関心を引き出す」という効果があると考えられる。

2.整然としていないデザインでも若中年層は関心をもってくれる

 さらにチラシや広告などでよくあるような情報がバラバラに分散しているような表現物でも、世代によって異なる傾向が見られた。
 若中年層では理解しようと努め、結果的に関心を示すことにつながる。一方で、年配層は一生懸命読もうとしているものの、注意を長く維持することができず読むのがつらくなってしまうと考えられる。(表1)

バラバラに分散した情報を閲覧したときの視線と脳の反応

3. 今回の実験から見えてきたこと

1) 年配層は、縦書きだと読みやすく、高い関心を持つ。
2) 年配層は、チラシなどでよくあるような整然としてないバラバラにレイアウトされた表現物だと、読むのがつらく感じている。
3) 若中年層では、整然としていない表現物は、むしろ色々と見ることで関心が高まることにつながっている、と考えられる。

 実際のチラシやダイレクトメールなどでは、商品やオファーの興味に応じて関心度合いは個々人で異なると想定されるが、表記の仕方の違いによる情報の捉え方が世代によってかなり異なってくることが分かった。その理由の一つとして加齢による知覚機能の衰え(主に視覚機能)が影響していると考えられる。

 日本の高齢化社会の進展に伴い、老眼など加齢による知覚機能の低下を抱えている人の数が相対的に増加している。LABOLISでは、通信販売のダイレクトメールや金融機関や自治体からの通知物など、確実に伝えなければいけない情報をどのように伝達するかさらに実証的研究を重ねており、引き続き企業のマーケティング課題や社会的課題に対するべく解決策を提案していきたい。

【実験について】
脳機能計測実験の結果データ(被験者12名)を、一般的に視力の衰えを自覚するといわれる45歳以上の年配層(男女7名/45歳~67歳)とそれ以下の年齢の若中年層(男女5人/22歳~44歳)とに分けて解析した結果、新たに分かったものです。
実験監修:中川雅文医学博士(国際医療福祉大学病院 教授)
お問い合わせの後の流れ
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