FOCUS of LABOLIS

2016.08.23

おもてなしの国は、 外国人の“目に優しいおもてなし”ができているか? <後編:外国人に分かりやすい申込書デザインは?>

>前編:ピクトグラム大国の実力を測る

●日本の申込書は外国人にはどこまで記入しやすいか?

 訪日外国人の増加に伴い、長期在留外国人も増えている。年間2000万人も訪れて、さらに4000万、6000万人と増えていくのであれば、その中の一定数は長期で日本に滞在したいと思う外国人も出てくる。その場合は日本人同様に、役所に出向いて申請書などに書き込む必要があるし、役所以外でも銀行口座開設やクレジットカードや割引カードなど、申込書などの帳票類に書き込むケースは多くなる。

 LABOLISでは、在日外国人にとって申込書などの帳票類が、果たして書き込みしやすいかについても調査した。

 申込書などの帳票類は正しく書き込まないと受け付けられない。日本国内の帳票類は基本的に日本語で行わなければならないので、かなりハードルは高い。
さらに、氏名に振り仮名を振ったり、和暦(平成、昭和)など日本独自の仕様も多く、意味を知らないと書き込み自体ができない。
 帳票類は多言語対応が望ましいが、デザイン計画を見直すだけでも外国人のストレスは減らせそうだ。
 

●日本の申込書は項目量が多く、レイアウトも詰め込み過ぎ!

 全体感としては、日本の申込書の質問項目の多さが挙がっている。またそれに対して、書き込みスペースが狭い、少ないことが指摘されている。

「日本の申込書は1つのスペースに『これでもか』と項目を詰め込んでいる。悪夢だ。」(アメリカ出身)
「職務などの分類が細かすぎる。」(アメリカ出身)
「日本はWebでもそうだが、最初に全部情報を習得する傾向がある。アメリカはシンプルで、人の情報も段階的に取得する。」(アメリカ出身)

 他にアメリカ出身者から、ローマ字が使えないことに対する不満が多かった。ローマ字を使えるにしても、今度はマス目が大きすぎるため、マス目を無視して詰め込む。また上下2段の真ん中をガイドラインとみなして、2段を使って書き込んでいる例もあった。

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●選択肢は丸で囲むの? はたまた塗りつぶすの?

 他にアメリカ出身者から出た意見で多かったのは、選択肢に対する対応だ。アメリカでは、選択肢は塗りつぶすか、チェックマークをつけるのが一般的だ。選択肢を丸で囲むという方式は取らない。この辺りは無意識でやっていることが多く、頭で理解していてもつい塗りつぶしてしまい、機械で読み取れないケースもある。

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 ある女性は、水道料金を自動引き落としにするつもりで何度も口座振替用紙を取り寄せ、書き込んで送ったが、引き落としの承認がされず、毎回紙で払いに行っていると言っていた。
 この他、振り仮名、平成や昭和などの和暦は日本独自の表記なので、これも戸惑うことが多い。また訂正も訂正線で消してさらに訂正印を使うなど、これも的確に対応できる外国人は少ない。

●日本独自の規格を理解し、欲しい情報を絞り込んでいく

 外国人にもストレスなく、また間違いのない記入ができる帳票をつくるのは難しい。ただ外国人にも分かりやすい帳票は、日本人にとっても理解しやすいはず。申込書などの帳票をデザインする際に考慮すべき点を挙げてみよう。

帳票デザインのポイント

1. 「本当に必要な情報は何か」からスタートする
  • 書かせる項目が多いほど、心理的ハードルが高くなる(これは日本人でも同じ)。必要な情報は何かを絞り込み、必要に応じて段階的に情報を集めるように工夫する。
2. レイアウトはシンプルにし、枠は広めに余白を取る
3. ルールをつくって表示する
  • 丸の使い方や訂正の仕方などを、ルールを決めて、統一。分かりやすい例示を用意する。
4. 記入フローを作成する
  • 項目の記入順番を定義する。記入者から違和感がないように配慮する。
5. 日本独特の習慣はできるだけ避ける
  • 振り仮名、和暦など、他国の習慣や文化ではあまり見かけないもので回避できるものは回避する。
6. 国や文化による色の持つ意味の違いを理解する
  • 日本や中国では「赤」は目立つ色、注意喚起の色だが、アメリカでは「ストップ」「禁止」を意味する。赤で囲んだエリアは記入してはいけないと読み違えるなど、国によって「色」が意味する内容が違うので、色だけに頼ったデザインにならないように注意する。

 今回、おもてなしの国の“目に優しい”おもてなし度をピクトグラムと申込書などの帳票類の分かりやすさや、使いやすさの観点から調査してみた。今後、訪日外国人はますます増えるだろう。出身国も使う言葉もどんどん多様化していく。今回、ご協力していただいた外国人は20代〜30代とアクティブな年代だが、もっと年齢を広げた場合はどうなのか。宗教的なタブーはないのかなど、細やかな配慮が求められてくるだろう。
 今後も継続的に調査に取り組んでいきたい。
 
 
>前編:ピクトグラム大国の実力を測る

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