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2017.01.16

[セミナーレポート]潜在意識調査のこれからについて-ドイツEye square社主催イベント「MEMEX2016」開催

    2016年9月9日、ドイツのEye square社が主催するマーケティング事例セミナーイベント「MEMEX2016」が開催された。

    調査における生体反応の活用

    Eye square社は心理学的手法と生体反応を組み合わせた調査サービスを提供する企業で、同社の視線計測装置は当社でも使用している。
    イベントではEye square社CEOはじめ、car2go Group(メルセデスベンツグループ)、Aktion Mensch(NPO団体)、Lunchio社(ITサービス)、Ogilvy&Mather社(広告代理店)、そして慶應義塾大学理工学部の満倉靖恵准教授の講演が行われた。

    満倉准教授は脳波から人の感性を計測することができる「感性アナライザ」を開発。セミナーではその研究内容やデバイスについての他、感性アナライザの将来性について講演された。その中の事例の1つとして「金融機関の申込用紙のデザインを改善することで、改善前よりも記入時のストレス度が下がった」という当社との共同研究結果も紹介された。

    感性アナライザの特徴はシンプルなデバイスでリアルタイムに好き/興味/ストレス/集中/沈静の5つの感情を計測できるという点である。頭皮から検出したデータから筋肉運動による振動などのノイズを取り除き、それを周波数領域に変換。その値から感情を定義するという世界初の技術を組み込んでいる。
    将来的に「考えるだけでコミュニケーションを図れること」の実現を目指して研究を進めているそうだ。

    dscn5832講演風景

    明示的測定と暗示的測定の統合

    またEye square社CEO Michael Schiessl氏、CTO Matthias Rothensee 氏、Metavue社CEO Jacques Blanchard氏と満倉准教授が対談。これからのマーケティングリサーチについてディスカッションが行われた。

    Jacques Blanchard氏は70年代にマーケティング調査におけるシミュレーテッド・テスト・マーケット(STM)という新たな手法を開発し、主にインタビューなどの明示的調査を用いて広告や価格に対して人々がどのように反応するか、何を考えていているかを調査してきた。その後マーケティング調査にアルゴリズムや数学理論を用いて、コミュニケーションやタッチポイントにおいての明示的測定と暗示的測定を統合しようと試み始めた。脳波測定などの暗示的調査の技術とモデルによる検証を組み合わせることで店頭の棚で商品を選択する際の意思決定の説明力を60~80%向上させることができる他、予測性を向上させることができる。通常予測は全体の平均で行うため個人単位の意思決定の予測はできないが、それができるようになるという。

    同氏は満倉准教授の開発したアプリケーションを活用することで「理にかなった調査が可能になるためとても興味深い」と語った。これまでのマーケティングリサーチではアンケートから顕在的な情報しか得ることができなかったため限界があり、数年前から潜在的な情報も合わせて考えることが必要で、同じくらい重要になってきているという流れにあるからだ。

    満倉准教授は脳波測定の研究を始めたきっかけについて「ALS※の人は見たり聞いたりすることはできるが、話すことはできない。そういった方々がコミュニケーションを図れるようになればという思いが研究の動機」と語った。本音を言わなくても脳は嘘を付かない。日本人はよくお世辞を言うが、感性アナライザを使えば本音を脳波から読み取ることもできるという。アンケートを取らなくてもポジティブな気持ちであればそれが分かるのだ。
    ※ALS・・・筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis)

    dscn5946ディスカッション風景

    マーケティング調査の未来

    現にマーケティングリサーチを行っているEye square社CTO Matthias Rothensee氏は、感情や感性を測定していくことは今後ますます重要になってくると語った。消費者にアンケート調査を通じて色々と聞くことは限界にきている。アンケートだけでは有用なデータを取りづらくなってきているため、他の手段を使ってKPIを測定する必要があるという。
    被験者から本音を引き出すことについては2つのポイントがある。まず消費者の本音をリアルタイムで把握できるようになってきたこと。そして被験者に多くの質問をしなくてもよくなってきたこと。アンケート調査の場合、さまざまな角度から複数の質問をする必要があるが、暗示的測定は例えばオンライン広告の場合、被験者はディスプレイを見るだけで調査が成り立つようにその負担を軽減する効果がある。

    さらにMichael Schiessl氏は「これらの新しい調査方法は、正しい調査方法により人間の真実を引き出すことができる」と語った。
    生体反応などの非言語領域が計測できるようになったことで従来の言語によるアンケートよりも真実(建て前ではない本音)が分かるようになった。また、テクノロジーの発展により測定精度とリアルタイム性が向上している。それにより、今後のマーケティング調査が大きく変わっていくだろうという結論に至った。

    今回のセミナーに参加し、これからのマーケティングリサーチでは潜在的な情報も合わせて検証していくことが重要であると改めて感じた。特に感性アナライザは簡易的なデバイスでリアルタイムに計測できる点が強みである。会場で行われたデモンストレーションでも、多くの傾聴者から注目を得ていた。
    LABOLISでも感性アナライザを使用して生活者の潜在的なストレスや興味といった指標を元に、帳票のデザイン設計やDMなどのクリエイティブをより根拠のあるものにすることを目指していきたい。

    感性分析サービス×視線計測

お問い合わせの後の流れ
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