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2017.02.20

デジタル全盛時代、通信業界があえてアナログメディアであるDMを活用している事実[DMライブラリレポート3]

 近年のスマートフォン・タブレット端末の急速な普及により、企業は「デジタル社会を前提とした生活者とのコミュニケーション設計」への対応を迫られてきた。各社はWebサイトはもちろんのこと、メルマガでおトクな情報発信やSNS活用でのファンづくり、さまざまな手続きの電子合理化と、あらゆるシーンでデジタルコミュニケーションの実績を重ねている。

 そんな企業と顧客のコミュニケーションを牽引しているのは、当然ネット回線や端末を提供する通信業界である。ところが興味深いことに、この通信業界こそが逆に究極のアナログメディアであるDMを大いに活用している、という事実がある。実際、日本郵便(株)が主催する全日本DM大賞では、ソフトバンクモバイル(株)(7回)、グーグル(株)(6回)、NTTドコモ関連企業(5回)といった業界大手が上位入賞の常連企業である。
(()内の回数は2016年現在での過去入賞回数)

 では一体このデジタル全盛時代に、通信業界がアナログメディアであるDMをどのように活用しているのだろうか?LABOLISにはDMライブラリという生活者モニターの自宅に送付されたダイレクトメールを収集した施設(ライブラリ)がある。この中から今回は2016年9月上旬に生活者モニターの元に届いた通信大手3社からのDMを紹介したい。

テーマは同じでも、DM形状は3社3様

 2016年9月、全国的に「話題の新スマホ」が発売された。そのタイミングで各社のユーザーに次のようなDMが届いた。

A社 B社 C社
郵送形態 ゆうメール 郵便(親展) 郵便
サイズ 定型封筒(A4×2枚) 定型封筒(12P冊子+A3) 定型外圧着
(A4サイズ圧着6面)
DM構成 02_01 02_02 02_03

(表1)各社のDM比較

 表1のとおり、3社とも「話題のスマホ」への乗り換え促進を訴求しており、乗り換えの際には割引等の特典が受けられる趣旨のDMである。サイズとしては、A社・B社は定型サイズ、C社のみ定形外であった。

 おそらく「話題のスマホ」への買い替えそのもののプロモーションは、当然、既存スマホのEメール・ショートメール等へダイレクトに発信されていると推測される。だがそれだけではなく、こうしてデジタルメディアの何十倍ものコストを投下して、大々的にアナログメディアであるDMを制作し送付するということは、それだけの費用対効果を見込んでの実施であろう。

 もう少し詳しく各社の「話題のスマホ」DM内容を見ていきたい。以下が各種項目ごとの比較一覧表である。

A社 B社 C社
送付主旨
(話題の新スマホ)
CM連動キャラクターの掲載 × ×
キャッシュバック
クーポン
(機種変更)


(バーコード付
キリトリチケット)
×
(利用者により金額に差がある)
キャッシュバック
クーポン
(新規またはMNP)

(バーコード付
キリトリチケット)

(バーコード付
キリトリチケット)
言及無し
来店特典 × × ×
家族紹介特典 説明のみ 説明+
バーコード付きの
キリトリチケット3枚
説明のみ
自宅の光回線加入促進
情報量 中くらい 多い
(クレジットカード等、
他サービスの案内も)
少ない

(表2)各社のDM内容比較

 まず3社とも送付主旨は「話題のスマホ」への乗り換えと共通だが、デザインにCM連動キャラクターを掲載していたのは、C社だけであった。次にDM特典としては、金額の差はあるが3社ともキャッシュバッククーポンを付与している。キャッシュバックの条件はそれぞれ異なり、A社は機種変更と新規・MNPともに同額の金額を、B社は機種変更は対象外で新規・MNPのみ。C社は逆に、機種変更での乗り換えキャッシュバックのみを訴求していた。
 また3社とも契約特典はあるが来店だけの特典はなかった。家族を紹介し家族が契約に至った場合の特典については、A社C社は説明のみであるが、B社はバーコード付きのキリトリチケットが同封されており、家族紹介誘導に積極的であることが読み取れた。その他、自宅の光回線契約への誘導も各社掲載がある。

 全体的な情報量としては、少ない順にC社→A社→B社となっており、C社は「話題のスマホ」への乗り換えだけをシンプルに訴求したDM設計の一方で、B社は乗り換え案内に伴い、その他のサービスも積極的にお知らせしたいという印象を受けた。

 以上が2016年9月に生活者モニターに届いた、通信3社の「話題のスマホ」DMに関する概要である。

 デジタル社会の現在、どのような手段でプロモーションを最適化していけばよいのだろうか。
 今回は通信業界でのDMの事例をご覧いただいた。弊社では各DMのレスポンス等詳しい数字はわかりかねる。しかしながら、費用対効果に極めてシビアな通信業界が、デジタルメディアと比較するとコスト高と捕らえられがちなアナログメディアであるDMをあえて採用しているのは、そのレスポンスに高い効果を見込んでいる証拠、ということだけは間違いなさそうである。

DMライブラリとは
生活者モニターの自宅に送付されたダイレクトメールを収集した施設(ライブラリ)です。
※DMライブラリで収集したDMは著作権の関係上、実物の画像を掲載できません。実物をご覧になりたい場合は、ぜひLABOLISへお越しください。(LABOLISへのご来場は事前予約が必要です。お問い合わせページよりご連絡ください。)

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