2017.07.28
生活者にとって通信販売は実店舗に比べると、いつでも買える気軽さやコストメリットがあるという特徴がある。一方対面で接客しない分企業とお客さまの関係性を築くのにハードルが高い。そこで通販の気軽さを活かしつつ、実店舗のようにお客さまとの距離感を縮めるにはどうすればいいのだろうか?
一つの回答として、通販会社のスタッフがダイレクトメール(DM)の紙面上に積極的に顔を出すという手法がある。お客さまにとっては顔の見えない相手よりも顔の見える相手から購入する方が、安心感が断然上がり親しみが持てそうだ。そこで今回DMライブラリの中からスタッフの顔を出すことを上手に活用している通販DMを4つご紹介する。
1つ目は農産物や農産加工品を中心に販売を行っている通販会社のDMである。形態は定型外の封書で内容としては既存客向けに新たに輸入ものの有機フルーツ加工品の限定品を訴求するものだ。
(図1)通販会社のDM
図1のようにブロシュアの1カ所に社長自らが顔を出している。
自信をもってお薦めいたします「商品名」 毎日食べたくなる「商品種類」は、これが初めてです |
というタイトルから始まる挨拶文があり、どれほどこの農産品が高品質であり自信を持ってお薦めできるのかを熱く語っている。注目したいのが社長のスタイリング。農業系らしくTシャツにオーバーオール、スカーフに帽子という恰好だ。表情は穏やかな笑顔。一目見ただけで「ああ生産者に近い人なのだな、なんだか安心できるな」というイメージが持てそうだ。
2つ目は健康食品のお試し購入客に定期購入を促進するはがきDMである。
(図2)健康食品会社のDM
図2のように宛名面の下半分が女性社長の顔と直筆挨拶文になっている。健康美容系の女性責任者といえば華やかな服装とメークの方が多いイメージがあるが、こちらの社長はナチュラルなメークで非常に親しみがもてる。しかも直筆分の字はご本人が書いたのだろうと思われる丁寧な字がリアルで飾らない印象を受ける。
3つ目にご紹介するのは漢方の通販会社DMである。夏の会報誌として届いた定型外の封書には、封筒と冊子の両方に大勢のスタッフが登場する。
(図3)漢方の通販会社のDM
まず封筒には表裏に渡ってスタッフたちが夏のイベントを楽しむ様子が写真とイラストの組み合わせで描かれている。大の大人が小学生の夏休みのような過ごし方をしている絵を見せることで、社員同士の仲が良い様子が無理なく伝わってくる。また同封されている冊子の一見開き目にはスタッフ紹介と称して、「この夏、挑戦してみたいことは?」と、各スタッフの顔と振り仮名付きフルネーム、コメントがぎっしり並んでいて、ついつい一つずつ読んでしまう。こうすることでたとえ通販でもお客さまにスタッフの顔とキャラクターを知ってもらうことができそうだ。また送っている企業側としてもこうして顔を覚えていただくことによって、スタッフにさらなる当事者意識や責任感が生まれる効果を狙っているのかもしれない。
最後にご紹介するのが農場の会報誌DMだ。サイズはこちらも定形外の封書で、面白いのが封筒とブロシュア表紙のビジュアルの連動の仕方である。
(図4)農場の会報誌DM
いずれも男性スタッフたちが建屋の中でカメラ目線で写っているのだが、実はその表情に変化をつけている。封書は真顔、ブロシュアは笑顔なのだ。中を開けて笑顔に気付いたとき、まるでスタッフに「開封していただきありがとうございます」と言われたような気分だ。彼らのような若い子達が現場で頑張っている、応援しようとついつい購入してしまいそうになるかもしれない。いずれにせよ誰がどんなところで作業をしているのか、現場が見られて安心する。
以上スタッフの顔を出した4つのDM事例をご紹介した。通販では対面で接客できない分、積極的に顔を出してお客さまに信頼・安心していただこうとする企業側の姿勢が見られたのではないだろうか。社長の顔を出す、スタッフの顔を出す、現場の顔を出す、とバリエーションはさまざまだが、どれもその企業ならではの特徴、らしさが表現されていた。うちならどう顔を出すのがうちらしいのだろう?そんなことを一度考えていただくきっかけになったら幸いである。
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