FOCUS of LABOLIS

2016.02.12

【講演レポート】データアナリティクスの最先端が集まるIBMインサイト2015 

2015年10月25日から5日間、米ラスベガスにてIBM社が主催するデータアナリティクスのグローバルカンファレンス「IBMインサイト2015」が行われた。
これは同社が開催する三大カンファレンスの一つで、最新のイノベーションや、注目すべきソリューション、アナリティクス、クラウド、モバイル、IoTなどの最新トレンドに関する講演や展示が行われる。会場には世界中の企業からアナリティクス担当者などが集まり、今回の期間中には約1万4000人もの来場者があったという。日本からもIBMのシステムユーザー企業が数多く訪れ、トッパンフォームズも最新の動向を得るべくラスベガスへと赴いた。さらに我々は、LABOLISにて行っている研究を発表する機会も得られた。IBMインサイトの内容と合わせてレポートしたい。
会場風景
今回のIBMインサイトのキーワードは、以下の3つといえるだろう。
  • Cognitive(コグニティブ)
  • RealTime(リアルタイム)
  • Open(オープン)
中でも<Cognitive=認知>は最も重要なキーワードになっていて、その象徴としてIBMが開発したシステム「Watson」と、これを利用したクラウド型アナリティクスソリューションの「Watson Analytics」が話題の中心となっていた。

基調講演を聞けば最新情報が手に入る

IBMインサイト2015はラスベガスにある巨大ホテル、マンダレイ・ベイのコンベンションセンターで行われた。期間中は毎日、8時30分から10時まで基調講演(ゼネラルセッション)が行われる。これには、有名なアーティストのコンサートや世界的なボクシングイベントでも使用されるイベントセンターが使われた。

この基調講演が、まさにIBMインサイトのメインイベントになる。各日IBMの最新ソリューションのコンセプトなどが発表されたが、最大のトピックスは気象関連情報を提供するThe Weather Company社のデジタル資産の買収だろうか。今後IBMは、The Weather Companyが保有する膨大な気象データや利用者の声をWatsonなどで分析し、顧客に最適な“価値のある情報”として提供していくという。

また最終日には“Make Your Mark(成功する)”をテーマに、既存のシステムを突破し成功した人たちが講演を行った。映画監督のロン・ハワードや、教え子とともに高性能な深海探査船を開発した高校教師などが登壇し、それぞれの成功体験を軽妙な語り口で発表していた。
WatsonAnalytics基調講演風景

分析だけでなくクリエイティブまで含めた視点

IBMインサイトの会場では、基調講演以外にも連日数多くのブレークアウトセッションと呼ばれるセミナーが開催される。当社からも企画本部マーケティング部LABOLISコンサルティンググループマネージャーの宇井が3日目に登壇し「Creativity Meets Analytics and Influences Emotion」をテーマに講演させていただいた。

講演を行うきっかけとなったのは、2014年のIBMインサイトだ。この年も参加し、講演を聞き展示を見て回る中で、分析結果をどのような表現で顧客に伝えるかという視点の内容があまり見られないことに気が付いた。“手元マーケティング”や“タッチポイントメディア”といったコミュニケーションのフロント部分で、我々がどのような工夫をし分析に活用しているのかを発表すれば、新たな考え方を世の中に発信できるのではないか。そう感じたことが、今回の講演のきっかけとなっている。

コミュニケーションのプロセス全体をサポートしていく

今多くの企業は、データ分析の部分に注目している。データマイニング(抽出)し、マーケティングオートメーションを行い、導き出されたシナリオごとに顧客にアプローチする。しかし、アプローチする上でどのようなデザイン(タッチポイントクリエイティブ)にすると効果が高いのかをリアルメディアとデジタルの両面で踏み込んでいる例は少ない。データ分析とクリエイティブは、どちらもないと効果は半減してしまう。

そこで講演では、<デザイン改善によるDMのレスポンス率アップ>や<帳票の不備率削減効果>といった事例を交えつつ、今後これらを連携できるシステムや体制を整えることにより、トッパンフォームズは企業のコミュニケーションプロセス全体をサポートする企業へと変革することを目指している、ということを伝えた。また、そのためには、データ分析に加えてクリエイティビティも重要ではないかという点についても話をさせていただいた。
発表資料P25
また分析面では、単にRFM分析(※)などの顧客の“結果データ”だけを用いるのではなく、Webやコール、商品コメントなどの様々な情報を分析することで顧客の状態を分析できるようになってきている、ということを発表した。
※RFM分析=顧客の購買行動や履歴から優良顧客の抽出などを行う分析手法(Recency:最終購買日、Frequency:購買回数、Monetary:購買金額)
  • Growing willingness(購買意欲が高いかどうか)
  • Distance from the customer(顧客と企業との距離)
  • Personality(顧客の性格やライフスタイル)
これらを定義できるようデータの分析方法を設計することで、最も顧客に買ってもらえるよう演出する。RFM分析によって、購入回数や頻度で顧客をセグメントするだけでなく、優良顧客であっても、本当のファンなのか、それとも離れそうなのかということが分析できるようになってきている。そこで、過去のデータをトラッキングし、顧客一人ひとりに状態の情報を付与すれば、同じ商品を販売する場合でもアプローチ方法が変えられるのではないかという内容だ。さらに、Ugocus Engine(ウゴカス エンジン)という独自のデータベース開発も合わせて紹介した。

最先端のアナリストやマーケターから賛同の声

講演後には「今後のアナリティクスの基本的な方向性は、話していた内容になるだろうと思う」という賛同の声をいただいた。アメリカのマーケティングの専門家からも「この考え方はとても魅力的だ」との感想をいただくことができた。中でも、Ugocus Engineについて興味を持ってもらえたようだ。

またIBMインサイトの前に訪問したサンフランシスコのデジタルマーケティング企業では、当社がLABOLISで研究を続けている視線計測や脳波計測といったツールを使ったマーケティングについて、大いに興味を示してくれた。

デジタルの世界では、個客の反応はクリック履歴などで計測してきた。それが、徐々にユーザビリティーの部分にまで広がってきて、今では置かれた状況や与えられた条件の中でユーザーがどう動いているか把握するところまできている。しかしこれを、オフラインで行っているという話は当社以外にはほとんど聞くことがない。オフラインもいずれインタラクティブになっていくと想定すれば、この分野は大きな可能性があると個人的には考えている。

発表資料P19など

新たなコミュニケーションを目指して

そして今回、強く感じたのが、スタートアップ企業の台頭だ。基調講演では、配車サービス「UBER」や、宿泊場所提供サービス「Airbnb」といった世界的に話題のベンチャー企業のロゴが多く見られた。日本IBMからも60人程が来場していたのだが、社長のポール与那嶺氏が「米国の空気を吸って欲しい」と考え、現地に派遣したという。「成功するか分からないのなら、とりあえずやってみようよという精神が重要だね」という与那嶺氏の言葉からは、日本と米国とのビジネスに対する姿勢の違いを感じた。日本企業は地に足を付けてビジネスを行っている。分析やビジネスのレベルについては、日米でさほど差はないと思う。しかしチャレンジするという点では、米国の方が進んでいるということを痛感させられたのも事実だ。

会場風景

これまで我々は、新たなテクノロジーや手法を駆使し、さまざまな仕組みからはき出される情報を個客一人ひとりの情報に変え、適切なコミュニケーションを実施できるよう研究やソリューション開発を続けてきた。今後も変わらず、個客の心をつかむ新たなコミュニケーション方法にチャレンジしていかなければならないと、IBMインサイトへの参加を通じて感じさせられた。

<関連ページ>
Ugocus Engine(ウゴカス エンジン)
ユーザビリティー調査:視線計測調査
感性分析サービス

お問い合わせの後の流れ
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