FOCUS of LABOLIS

2016.03.01

【特集 DM事例解剖!】生活者目線で考える:開封行動に基づくDM開発

はじめに

LABOLISでは、生活者と企業間のコミュニケーション施策の最適化に向け、生活者調査や視線計測(アイトラッキング)、DM収集などを通じ、開封されるDMやレスポンスに繋がるDMの研究を続けている。

今回はLABOLISで開発した立体型のDM「ポスト型DM」の事例を元に、生活者目線で考えるDM開発についてご紹介したい。

1.生活者のDM開封判断のポイント

生活者がDMを開封するかどうかを判断する時間はどの程度だろうか。下記にその調査結果を示す(図1)。調査によると最初の5秒で決めている人が90%近くに達しており、DMを手にした瞬間が最も重要である。
そのため、最初に見たその瞬間に開封行動をしたくなるよう生活者に何かしらのインパクトを与える必要がある。

2013年5月トッパンフォームズLABOLIS調べ(有効回答サンプル数1000)img_02図1 DMを開封するかどうかを判断する情報は?

そこで、DMが生活者に与えるインパクトとは何だろうか。ここに、一番最初にDMの何を見て開封行動を起こすのかを調査した結果を示す(図2)。
開封するかどうかの判断基準に『差出企業名』と回答した生活者は、80%となった。「どこから届いたのか」が明確であることが最重要ポイントと言える。また、『内容』68%、『プレゼント・特典』も約50%あることから、「自分にとっての有益な情報」であると分かれば、開封に繋がりやすい。

2013年5月トッパンフォームズLABOLIS調べ(有効回答サンプル数1000)img_01図2 DMを手にとって開封するかどうかの判断をする時間は?

2.生活者の視線からみるDM

こうした生活者への調査を続けていると、実際のDMのデザインがどのように注目・閲読され、興味関心を示されているかを把握することが重要だということがわかる。
そこで私達は、視線計測調査を行い、生活者がDMのどこを見ているのかを探っている。例えば、伝えたい重要な内容の読み飛ばしがないか、読みにくい場所がないか、さらにはDMの開封時の視線を計測することで、開封時の開けやすさだけでなく、その後どのツールから読み始めるかなどの詳細な調査を行い、生活者の目線でDMが適切な役割を果たしているかを研究している。また、視線計測を行うだけでなく、インタビュー調査や脳波測定によるアプローチから、生活者の生の声や無意識の感情を紐解くことを合わせ、総合的にデザインの課題点を確認し、送り手と受け手のミスマッチを解決している。

視線計測調査結果(例)
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図3 注視エリア
各エリアの注視度合いを色温度にて出力
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図4 動線
各エリアの被験者の割合や行き来の動線、比率
視線計測の調査
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図5 視線計測装置
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図6 視線計測調査風景

3.DMの形状と開封行動

DMは様々な形状があり、単純なハガキや封書タイプだけではない。LABOLISのDMライブラリでは10年以上前から生活者モニターに届くDMを収集しており、2015年現在、その数は約5万点にのぼる。収集しているDMはデータベース化しており、一般的な形状の研究から、どのような企業がどのようなDMを出しているのか、様々な角度で見ることができる。
そして、生活者がDMを開封するための各企業の工夫がここにも多く存在する。
その1つが箱型(立体型)のDMだ。図7にDMの形状比較を示す。コストも影響し、箱型DMは非常に少なく、0.3%と少ない。しかし、他のよくある形状のDMに比べて埋もれにくく、インパクトもあるためメリットは高い。数は少ないものの、生活者からのコメントを確認するところ、開封率は高い。

img_07図7 2014年度収集DMライブラリ形状比較(LABOLIS調べ)

4.ポスト型DMの誕生

上記で述べてきたLABOLISの数々の研究をヒントに、LABOLISソリューションを訴求するDM施策を行った。本施策でのDMの送付先はDM制作者であり、文字通り「受け手目線」のDM制作の重要性を伝えたいという狙いがあった。
DMは2回に分けて送付し、第1弾のDMは確実に手に取り開封していただくこと、そして第2弾のDMが届くまで覚えておいていただくことが役割のため、インパクトのあるDMにすることが制作上のポイントとなった。そこで、オフィスで他のDMや書類に埋もれず、お客様の目に留まるよう、真っ赤なポスト型の立体形状とした。
こうして、このDMのコンセプトは体験型DMとし、次の3つの項目を重要ポイントとしてDM制作を進めた。

  • DMを受け取ったときの生活者の気持ちが疑似体験できること
  • 当社のDM制作力が伝わるクリエイティブ(制作物)であること
  • 営業フォローしやすいよう、パッと目立つクリエイティブであること

開発時は様々な立体案があったが、DMを取り出す動作のリアル感をと、疑似立体の面白さを追求する2点を重視し、ポスト型DMが完成した(図8)。
また、単純にポスト型のDMを送るだけではなく、私達が制作したDMはあくまでDM制作者が生活者の疑似体験していただくことが狙いのため、ポスト型DMの中にはさらに3つのDMを用意し、「生活者がポストからDMを取り出し、開封する」というDMの受け手側の気持ちを体験していただく演出をした。

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図8 ポスト型DM

また、ポストからサンプルDMを出す生活者の視線の動きが分かる動画をYoutubeに公開し、生活者の目線を追体験できる仕掛けを用意した(図9)。こうすることで、DM担当者が生活者の疑似体験経験すると同時に視線計測についても理解できるように設計した。

図9 Youtube上での公開動画

その後、第2弾DMを同じ担当者に送付。DMの内容は第1弾DMと連動する企画とし、第1弾の中に同封しているサンプルDMについて行った視線計測の調査結果を元に第2弾DMの封筒をデザインしている。さらに、その調査結果レポートを同封し、私達がこれまで実施してきた視線計測調査の理解が深まる仕掛けを加えた。さらに営業からのフォローコールを活用したことで、理解度を増す結果となった。
こうして、本施策の一連の流れは人間が行動に至るまでのプロセス「認知→興味→理解→行動」(図10)という心の動きを踏まえたものであり、このDM戦略が功を奏し、結果として高い開封率とお問い合わせ件数の増加、高いROI(投資対効果)に繋がった。

img_11図10 DMをきっかけに行動に至るまでのプロセス

5.さいごに

私達が生活者目線に立つ重要性を伝えている本DM施策は、第29回日本DM大賞(※1)では金賞グランプリを受賞。さらに、DMA国際エコー賞(※2)では、シルバー賞並びにUSPSゴールドメールボックス賞をダブル受賞することができた。基本に立ち戻り、「全ては受け手の笑顔のために」をコンセプトとしたことで結果としてこのような受賞に繋がった。今後も日々研究を進め、本当に受け手が喜ぶ企業のコミュニケーションを探求し続けていきたいと思う。

※1 全日本DM大賞は日本郵便主催のアワードである。戦略性、クリエイティブ、実施効果などにおいて、優れたDMを表彰している。
※2 DMA国際エコー賞とは、米国ダイレクトマーケティング協会が主催する世界最高峰のダイレクトマーケ
ティングアワードである。毎年、世界各国から1,000近い応募があり、クリエイティブだけでなく、マーケ
ティング戦略とレスポンス結果を重視した審査基準の下、1年間で最も優れたダイレクトマーケティングキャンペーンを決定している。
お問い合わせの後の流れ
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