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2016.06.29

「DM Week 2016」いま、DMは 本当に効くのか?

いま、DMは 本当に効くのか?

DM week 2016 セミナーレポート

デジタルメディアが多様な展開をする中で、「心につながるストーリー」を構築する時、
「オールドメディア」とも言われてきたDM(ダイレクトメール)は、どこまで底力を発揮できるのでしょうか?

 さまざまな電子メディアを駆使するデジタルマーケティング全盛の中、「オールドメディア」とも呼ばれてきたDMは、果たして今も厳然とした力を持ち続けているのか。改めてDMの特長を確認すると、3点に集約されます。

 1つ目の特長は、現物が実際に手元に届くインパクトです。デジタルメディア全盛だからこそ、リアルのインパクトは大きい。紙の手触りなどもこだわれば、デジタルではなかなか伝えにくいクオリティ感を伝えられます。

 2つ目は、商品の認知から、メリットの説明、購買や来店などのレスポンスへの誘導までを1つのストーリーとしてワンショットで伝えられる突破力です。例えばメルマガは大体400~600文字程度ですから、ストーリーを語れるほどの情報量がありません。情報量に裏付けられた説得力も、DMの特長と言えるでしょう。

 3つ目は、One to Oneマーケティングの最適性です。ターゲットをセグメント化することで、個々のニーズに応じてDMを送ることができます。

 リアルメディアのインパクト、ストーリーの説得力、個別ニーズへの対応という3つの特長を総合的に考えると、DMは強力な行動喚起メディアといえます。ここで課題となるのは、デジタルメディアとの使い分けです。デジタルの特長はシンプルなメッセージの伝達力。その違いを理解した上で目的に応じて両者を使い分け、時には連携させることでシナジー効果を上げるのが現在の主流です。

DM 3つの特長

DMの新常識!? 行動喚起率「19%」

 DMが強力な行動喚起メディアであることは、日本ダイレクトメール協会が毎年行っている「DMメディア実態調査」でも浮かび上がっています。最新の実態調査の1つとして、首都圏在住の20~50代の男女200余名に実際に送られた延べ1429通のDMに対して、開封・閲読したのか、そしてその後にどんな行動を取ったのかを調べました。浮かび上がったのは、受け取ったDMに対して「19%」という行動喚起率です。

DMの行動喚起率は19%

 行動喚起率は、よく「レスポンス率」という言葉で語られるのですが、この定義は非常にあいまいです。そもそも、DMを送った側が把握できるレスポンスは商品の売り上げや問い合わせ件数などに限られますから、ネットで調べたり、家族や友人などの間で話題にしたりというタイプの行動はカバーできていませんでした。今回の調査ではそういった部分までカウントしたところ、DMを見て受け手が何らかの行動を起こす確率、つまり行動喚起率は19%にも上ると分かったのです。一般的に、DMのレスポンス率は1~3%と言われますから、この数字は驚異的とも言えます。

 加えて今回の調査では、DMのクロスメディア効果も確認できました。ネットで調べた(7.8%)、店に出掛けた(2.7%)、家族・友人などとの話題にした(5.6%)と、DMを起点としてほかのコンタクトポイントへと流れていく消費者は一定程度います。

 また、今最もDMが効いているのは若い世代であることも分かりました。世代別に見ると、行動喚起率が高いのは男性の20代と女性の20~30代だったのです。とりわけ20代の男女では、3人に1人が「ネットで調べる」という行動を取ったことも明らかになりました。これまでは「DMによる行動喚起といったら40代以上」というのが定説でしたが、DMに慣れている50代女性では、開封・閲読率は良いものの行動喚起には結び付きにくいというデータが出ました。逆に、デジタルメディアに慣れている若い世代は、DMというオールドメディアが新鮮で、興味・関心をそそりやすいようです。グループインタビューでも「紙のDMをもらうと、丁重に扱われていると感じる」という声が聞かれ、若い世代へのDMの訴求率の高さを実感しました。

デジタルメディアで認知度を高めDMで行動を喚起する

 かつて全日本DM大賞を受賞した事例から、デジタル&グローバル時代にふさわしいプロモーション戦略の中でDMが重要な役割を果たした事例を紹介します。

 全学生の半数近くが海外留学生で、先進的な国際教育で高い評価を得ている立命館アジア太平洋大学(APU)が、海外受験生の出願率向上を図るテストマーケティングとして実施した事例(2013年DM大賞銀賞・審査員特別賞受賞)です。

 ターゲットは、インドネシア・ジャカルタ在住の高校3年生の女子学生でした。同大学はまず、FacebookなどのSNSを活用したり、YouTubeでも大学生の学生生活の様子が分かる動画を公開したりして認知度と理解度を上げ、実際の出願へと誘導するタイミングでDMを送付しました。

 WebとDMをうまく連動させた戦略性はもとより、DM自体のつくりも非常に凝っていました。ジャカルタ出身の女の子がAPUで4年間の学生生活を経て、日本企業に就職するまでを描いた漫画に加えて、親御さん向けに4年間の学費や奨学金の情報がしっかり入ったブックレットも同封。親子ダブルターゲットのDMを送付したのです。

 結果、対象国のWeb出願率が前年比300%等、成果が大きく向上しました。これは、デジタルとリアルの使い分けの好例と言えるでしょう。

 デジタルとリアルは代替し合うものではなく、組み合わせて使うことでさらに効果を発揮するのです。波及力の高いデジタルメディアでターゲットの関心をぐっと惹きつけ、行動喚起の場面ではDMの持つ強力なコンバージョンパワーを味方につける。このように、それぞれのメディアの特長をよく理解した上で戦略や手法を練れば、DMはこれからもパワーのあるメディアとして活用できるでしょう。

講演写真

profile

椎名 昌彦 氏(しいな・まさひこ)●(株)電通を経て、1985年ダイレクトマーケティング専門広告会社、(株)電通ワンダーマン設立と同時に出向。金融、テレコム、ITなどの領域で顧客獲得、CRM業務の実施および統括を行う。早稲田大学ビジネススクール、事業構想大学院大学などでの教育・執筆活動も行う。2011年より(一社)日本ダイレクトメール協会専務理事。

(所属、役職は2016年4月1日時点のものです)

お問い合わせの後の流れ
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