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2016.06.29

「DM week 2016」タイミングが9割 !

タイミングが9割 !

DM week 2016 セミナーレポート

MA(マーケティングオートメーション)システムの導入・運用と共にコンサルティングを行う株式会社ディレクタス。同社ではB to CでのOne to Oneコミュニケーションを実現するツールとして、MAが果たす役割に注目しています。

 2015年12月に矢野経済研究所が発表したデータによると、国内におけるMAサービス市場は2020年には420億円に達すると予測されています。対2014年比で年率16.4%という大きな伸長率です。

 2015年あたりから、MAという言葉がよく使われるようになりました。MAを「マーケティングを自動化すること」と捉えている方もいると思いますが、実際のところ、MAとは「顧客とのコミュニケーションを自動化すること」なのです。

 例えば、ECサイトで商品を買った顧客に「お買い上げいただきありがとうございました」というEメールを送る。あるいは特定の商品に関心を示した顧客に対して「こんな商品もおすすめですよ」と関連商品や類似商品を案内する。このように、顧客の行動に応じて次の対応をどうするか、あらかじめセットしておいたシナリオに従って自動的にコミュニケーションをとるのがMAによるコミュニケーションの自動化です(下図参照)。

MAによるコミュニケーションの自動化

顧客の状況に合わせて最適な情報を提供する

 MAの役割や機能はB to CとB to Bでは異なります。B to Bのターゲットは通常新規顧客であり、目的はOne to Oneコミュニケーションを通じて新規顧客を見込み顧客に育て上げ、営業担当者にリストを渡すことです。マーケターは新規顧客にメールを送ったり電話をかけたりした時のレスポンスをスコアリングし、有望な見込み顧客を抽出して営業担当者へ引き継ぎます。

 対してB to Cのターゲットは多くの場合既存顧客であり、その目的はOne to Oneコミュニケーションによってよい関係性を築いて結果的に売り上げを最大化することです。マーケターは、顧客の購入履歴やWebのアクセスログなどを見ながら、いつ、どのような形で、どんなメッセージを伝えるのがよいか、最適なコミュニケーションのシナリオを選択し、実行します。

 またB to C向けMAは、複数のチャネルを横断的に活用しながらOne to Oneコミュニケーションを実現するという意味で「CCCM」(Cross Channel Campaign Management)とも呼ばれます。B to C向けMAの重要な要素はクロスチャネルとOne to Oneマーケティングであり、One to Oneマーケティングはさらに、「コンテンツのOne to One」と「タイミングのOne to One」の2つに分けられます。

 まず「コンテンツのOne to One」の手法は、大きく分けて3つあります。1つ目は、セグメントごとに訴求内容を変えたメールを送るなどのセグメント配信。2つ目は、ターゲティング配信。「あなたに向けてこの情報を送っている」と特定のターゲットにはっきり示すことでレスポンス率を向上させます。ただ、ターゲットを絞りすぎると1回あたりの配信量が下がるので、効率が悪くなります。そこで有効なのが、3つ目のレコメンデーション。購買履歴を基に、自動的に商品の情報を配信するのです。

 対して、「タイミングのOne to One」とは、顧客のアクション状況に合わせて最適なタイミングで情報を配信することです。例えば、ECサイトで会員がお気に入り登録していた商品が値下げされた場合に「値下げされました!」と知らせたり、在庫が僅少になったら「在庫が残り3つです」と買い逃しのないよう促す。顧客のアクセスログや店舗の販売状況を把握しながら、タイミングを見計らって、顧客にとって最良のタイミングでコミュニケーションを実現しようとするわけです(下表参照)。

タイミングのOne to One

反応率を高めるためには想像力を働かせることが重要

 重要なのは、「コンテンツのOne to One」と比較して「タイミングのOne to One」によるコミュニケーションの効果が非常に高いことです。私の感覚では、「タイミングが9割!」と言っていいくらいです。現実的な話をすると、あるファッションECサイトでは「カートに商品が残っています」と注意喚起する「カートフォロー」メールの効果が、一斉配信のメルマガと比べて15倍以上になりました(下表参照)。

タイミングのOne to Oneの効

 ただし、ここまでの対策はMAを導入したほとんどの企業が実施していること。今後は、顧客に「良いサービスだな」「気が利いているな」と思ってもらえるような体験を提供するためにOne to Oneマーケティングを活用することで、エンゲージを高めていくことが重視されるでしょう。

 その際大事なのは、「どんなタイミングで、どんな内容を伝えればお客様が喜ぶのか」と想像力を働かせることです。例えば、資料請求を朝の7時にする人と、夕方の5時にする人とでは、生活のパターンが違うはず。実際に、資料請求されたタイミングに合わせてメールを送信することで、反応率が2割上がった例もあります。

 今は購入履歴のほかにも、アクセスログや位置情報など、あらゆる顧客情報を得られるようになっていますから、データをきめ細やかにチェックすることで、まるでリアルな店舗で接客しているかのような臨機応変かつ丁寧なアプローチがWebでも可能になっていくでしょう。

 クロスチャネルをどう活用するかも重要な課題です。例えば、ある量販店のロイヤルユーザーに対し、お得意様限定5万円引きクーポン付きのDMと500円引きクーポン付きのメールマガジンを同時に送ったとします。顧客は「この店は私を顧客としてどう見ているんだろう」と不信感を抱きますよね。クロスチャネルを活用するには、顧客データベースに基づいた一貫したシナリオを提供する体制が必要です。難しいことですが、今後のMAの進展は、この課題をクリアできるかどうかにかかっていると言えます。

 One to Oneマーケティングを通じてそれぞれの顧客に最適なシナリオを選択し、あらゆるチャネルを駆使しながら一貫したマーケティングを実践する。そしてそれにより、エンゲージにつながる顧客体験を提供する。これが、MAを活用するマーケターの新たな仕事となっていくでしょう。

profile

岡本 泰治 氏(おかもと・やすはる)●(株)リクルートを経て、(株)ディレクタスを設立。多くの大手企業のeCRM、Eメールマーケティングの戦略を立案し実行を支援。現在はクロスチャネル・マーケティングのためのコンサルティングとCCCMなどのツール提供、運用支援を行う。著書に「B to C向けマーケティングオートメーション CCCM入門」など。

(所属、役職は2016年4月1日時点のものです)

お問い合わせの後の流れ
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