FOCUS of LABOLIS

2016.10.25

【特集】ものづくりとともに成長する、 創造力とブランディング力

ものづくりとともに成長する、 創造力とブランディング力

約50年前の銀座4丁目、世界遺産スイス・レーティッシュ鉄道の景観…これらを紙の模型で見事に再現し、作品のクオリティーの高さからさまざまなメディアで活動が取り上げられている東京都立大崎高等学校(以下、大崎高校)ペーパージオラマ部。なぜ、紙の模型なのか。どうしてここまで注目を浴びるようになったのか。顧問である庭野裕先生に「ものづくり」を通した学校ブランディング、ツールとしての紙とデジタルの存在感について伺いました。

庭野 裕氏

東京都立大崎高等学校 教諭 ペーパージオラマ部顧問

庭野 裕氏(にわの・ゆたか)

●東邦大学理学部生物学科卒業後、主に都内での理科・環境教育や環境保全活動に従事。2009年に東邦大学大学院理学研究科生物学専攻へ社会人入学。同大学院修了後、2011年に東京都立大崎高等学校に教諭として着任。現在に至る。

企画本部 コーポレートコミュニケーション推進部長

滝村 美子(たきむら・よしこ)

●企画本部の発足時より、ダイレクトメール等の企画に携わる。現在はショールームやイベント、このidea previewの発行など、当社のコーポレートコミュニケーションを担当。

滝村 美子

作品は、多くの人に見られてこそ、価値が生まれる。

滝村:

大崎高校のペーパージオラマ部は創部以来、コンテストで入賞されたり、さまざまなメディアに取り上げられたりと、目覚ましい活躍をされています。

庭野:

ペーパージオラマ部を作った当初の目的は、文化系にも体育会系の部活にも属さない生徒たちが活躍できる場を設けたいというものでした。ペーパージオラマにしたのも、ものづくりを基軸にした活動をやりたいと考えていた時に紙で作るジオラマに出合い、「これならいける」と感じたのがキッカケです。

滝村:

とはいえ、創部3年余りで結果を出されているのはすごいなと思います。コンテスト以外にも、展示会への参加や企業とのコラボレーションなど、活動の場を広げていますね。

庭野:

作品を作って終わりではなく、その先に生徒たちが社会とつながる機会を増やしたいと考えています。外部の人と接して評価されることで自信になりますし、さらによいものを作ろうという気持ちになってくれますから。

活躍の場を広げるペーパージオラマ部の学生

先生のプロデュース力と生徒たちの創造力が築き上げた、ペーパージオラマ部というブランド。

滝村:

外部と接点を持つことで生徒たちがさまざまな刺激を受ける機会を作っているのですね。ペーパージオラマ部を広く認知させるために、先生はどんなサポートをされていますか。

庭野:

常に外に向かって発信し続けることが大切だと考えています。ただ「取材に来てください」では来てくれませんから。展示会を行う場合はセレモニーを行い、そのタイミングで案内を出すなど、メディアの方に来てもらいやすい状況をこちらで用意するようにしています。

滝村:

「紙で再現! GINZA 1964」という作品では、自ら各方面に奔走され、最終的には郵便切手にまでなったと伺っています。

庭野:

銀座のジオラマは、皆さんのチカラが1つになった作品だと実感しています。作品を作るために、私が老舗のお店や企業にアポイントを取り、生徒たちが取材に伺うことを繰り返しました。すると、資料提供していただいた方々から応援していただけるようになって。コンテストが終わったあとも、「せっかくだから、どこかで展示できないか」と声を掛けていただき、銀座通郵便局のギャラリーに飾ることになったのです。この展示がキッカケとなって郵便切手になったので、いろいろな人たちの協力で世界が広がっていく様を生徒たちも体験することができ、とてもよい経験になったと思います。

創作活動は生徒主体。一人ひとり発想力と自主性を引き出す指導を行う。

創作活動は生徒主体。
一人ひとり発想力と自主性を引き出す指導を行う。

滝村:

企業ブランディングにおいても、お客様に愛着を感じていただきファンになってもらう「顧客エンゲージメント」という考え方があるのですが、先生の話はそれに通じるものがあります。ものづくりに留まらず、プロデューサー的なスタンスで、ペーパージオラマ部はもとより、大崎高校のブランディングにも貢献されている印象を強く受けました。

庭野:

ベースにあるのは、常に目の前の課題を解決しよう、作品を次につなげたいという思いです。また、「ペーパージオラマ部=大崎高校」として、メディアに取り上げてもらえるのは、作品が魅力的だったから。それは生徒たちが頑張って生みだした価値だと自負しています。

滝村:

企業のブランディングは、さまざまな活動の積み重ねが信頼感につながり、ブランドとして成長していくものだと思います。先生の話を伺い、改めて愚直に自分たちの価値を発信しつづけることの大切さを実感しました。

デジタルはツールとして使いこなし、紙でしか伝えられない思いを創り上げる。

滝村:

先生のプロデュース力と生徒たちの創造力に加え、「紙」であることも活動の場を広げた大きな要因だと思います。ただ、CGや3Dプリンターという選択肢もある今、どうして「紙」なんでしょうか。

庭野:

即効性と切り替えの速さ、インパクトではデジタルに優位性があると思います。でも、見た人の感情を揺さぶり、記憶に残るという点では紙の方が優れているのではないでしょうか。以前、「作品にオーラがある」と言われたことがありますが、紙ならではの存在感、唯一無二のペーパージオラマだからこそ、伝わる情熱が違ってくるのだと私は思っています。

滝村:

実は当社の行った脳科学実験でも、人間の脳は、同じ内容を紙とディスプレーで見た時に異なる反応を示すという結果が出ています(参照)。これからの時代、紙の代わりにデジタル、デジタルの代わりに紙ではなく、それぞれの特性を踏まえて使い分けることが重要になってくると考えています。最後にこれからの展望をお聞かせください。

庭野:

今後も、作品を通して生徒が社会とつながる機会を増やしていくつもりです。ここでやり遂げた経験が自己実現につながり、社会へ出た時の糧になってほしいと願っています。

滝村:

これからの生徒さんたちの活躍が楽しみですね。ありがとうございました。

東京都立大崎高校ペーパージオラマ部の受賞と実績

テーマとする観光地や街の息吹までを感じさせる大崎高校の作品は、数々の賞を獲得し大きな話題に。近年では企業とのコラボレーションやさまざまな展示会への出品など、活躍の場を広げています。

「秋葉原 松住町架道橋のある風景」

第5回全国高等学校
鉄道模型コンテスト
モジュール部門 全国第7位

「紙で再現!世界遺産レーティッシュ鉄道アルブラ線」

第6回全国高等学校
鉄道模型コンテスト
1畳レイアウト部門 最優秀賞

「紙で再現! 信越本線碓氷峠 アプトの秋」

第7回全国高等学校
鉄道模型コンテスト
1畳レイアウト部門 優秀賞

「教文館・聖書館ビルの復元模型」

銀座・教文館の企画展に協力

「とびだせ! ごたんだの駅」

第3回ハイスクール国際ジオラマ
グランプリ技術賞
ベストプレゼンテーション賞
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